くちづけのその後で
「しぃ〜……」


西本君は海斗を見ながら言って、人差し指を口元に当てた。


不思議に思いながら隣を見ると、さっきまではしゃいでいたハズの海斗がスヤスヤと眠っている。


あたしと西本君は、顔を見合わせながらクスクスと笑った。


いつの間にか観覧車は頂上を過ぎて、ゆっくりと下降し始めていたけど…


あたしの中には、もう恐怖心は無かった。


そして、観覧車が地上に着く頃には街をオレンジ色に染めていた夕陽は沈み切って、辺りはすっかり暗くなっていた。


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