くちづけのその後で
西本君の言葉に、頷く事は出来なかった。


だけど…


ずっと不安を感じていたあたしの心が、いつの間にか羽が生えたように軽くなっていた。


あたしは、心が西本君の優しさに包まれていくのを感じて…


ほんの少しだけ、彼に歩み寄りたいと思うようになっていた。


海斗……


ママ、頑張ってみたい……


いつものように愛らしい表情で眠る海斗に心の中で呟いた後、西本君の瞳を真っ直ぐ見つめた。


そして、彼に微笑みを向けながら口を開いた。


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