くちづけのその後で
あたしは西本君の背中にゆっくりと腕を回して、恐る恐る彼を抱き締めた。


「返事は……“YES”でイイ?」


西本君に優しく訊かれて、彼の腕の中で小さく頷いた。


体を覆う柔らかな温もりが、心まで届きそうな気がする。


ねぇ……


誰かを好きになると、こんなにも幸せな気持ちになれるん……?


あたしは、やっとその事に気付いたみたいやね……


季節はもうすぐ冬の終わりを告げる頃、あたしは生まれて初めて海斗以外の誰かを愛する気持ちを知った。


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