くちづけのその後で
季節は春に移り変わって、近所では淡いピンクの桜が開花し始めていた。


「朱莉さん、お疲れ様です♪」


平日の夕方、いつものように出勤して来た真子ちゃんが満面に笑みを浮かべ、明るく言った。


「お疲れ♪じゃあ、あたしは上がらせて貰うから、後はよろしく!」


「はーい!あっ、明日楽しんで下さいね♪」


「うん♪ありがと♪」


あたしは彼女に笑顔を向けた後、先生と助手に頭を下げた。


そして更衣室で着替えを済ませ、歯科医院を後にした。


< 416 / 808 >

この作品をシェア

pagetop