くちづけのその後で
春先になれば、冬とは違って夕方でも随分と明るい。


ひんやりとした風も冬のように肌を刺す程の冷たさでは無くて、手袋やマフラーを使う必要も無くなった。


あたしは自転車を漕ぎ出して、海斗の待つ保育園に向かった。


仕事の疲れはあるけど、明日の事を考えると自転車が軽く感じる。


そのせいか、あっという間に保育園に着いた気がした。


「海斗!」


「あっ、ママー!」


あたしが教室に姿を見せると、海斗は嬉しそうに笑いながら走り寄って来た。


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