くちづけのその後で
「来週の火曜の16時でお取りしました」


予約の日取りを確認した後、西本君に診察券を返した。


「どうも♪」


「お大事に」


満足そうな笑顔を見せた西本君は、スリッパを脱いで靴に履き替えた。


「じゃ♪」


そして軽く頭を下げると、勢いよくドアを開けて帰っていった。


名前の通り、ほんまに疾風みたいな子やったな……


そんな事を考えながらため息を漏らし、拭い去る事が出来ない憂鬱を抱えたまま西本君のカルテを片付けた。


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