大嫌いでも、大好きだから。



目元に触れていた手が、
ゆっくりと頬に触れるのを感じて、

そしてお互いの距離が近くなっているのを感じて、

私は反射的に唾を飲み込んだ。


鳳くんはクスリと笑う。

「そんなに苦しいなら……」
「え……?」

唇が触れそうな、距離。
吐息を近くに感じて震える。


「俺を好きになりなよ」

胸が熱い。

その言葉に、
私は目を閉じた。

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