恋〜彼と彼女の恋愛事情〜


「多分、悠人さんはお前のことすごく大切に思ってくれてると思うよ」

「うん。それはわかる」

「そうか、それなら安心した」

「え?」

「ところでさ、お前将来やりたいこととかある?」

「・・・・将来?」

「そう、こんな職業につきたいって」

「・・・考えたことなかったな。毎日過ごすだけでいっぱいいっぱいだったから」

「じゃあさ、秘書になんねぇ?」

「秘書?」

「そう、俺の第一秘書」

「え!?早瀬君の!?」

「おう」

「でも・・・秘書になるって、学校行かなきゃ・・・だよね?」

「うん」

「ムリ。家お金ないし・・・父親が出してくれるとは思わないし・・・」

「あのさ、お前今学年30位くらいだろ?」

「うん」

そう、俺が教えたから少しずつ学力の順位が上がってる。

「本当なら5位以内・・・でもムリだろうから。10位以内に入ったら特待生として、早瀬グループがやってる学校に入れてやる。・・・そこに秘書科もあるから。そうなったら学費は全額免除」

まあ、俺が一言言えばどんな状況でも免除に出来るけど・・・香奈枝は納得しないだろうからな。

「え!?」

「・・・頑張ってみる気ないか?」

何か考えてるな・・・。

「お前さ、本当だったらどうするつもりだった?」

「え・・・お金貯めて家を出ようって思ってたけど・・・・」

「出られると思ってる?」

「え?」

「アパート借りるにしてもお金はかかる。保証人は悠人さんがなってくれるとしても、お前が働き出したら・・・今まで育ててやったんだから・・とか言って父親にお金を取られることってない?」

俺の言葉に少し青ざめたような顔をする。

「あの家にいて、父親がいるかぎりお前、出られないと思うよ」

「・・・どう、したら・・・」

「だから!俺の家に来いって言ってるだろ?」

「でも、でも・・・人一人面倒見るって大変なんだよ?食費とか光熱費とか・・・」

あきれた。そんなこと心配してるのか?

俺を誰だと思ってる!


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