喫茶ノムラへようこそ!
チョコバナナマフィン
ショーケースの前に立った瞬間から、アタシの心はもう決まっていた。

アイツは、バナナが好きだって言ってた。


「ユカはどれにするか決めた?」


ママがショーケースを覗き込みながら私に訊く。


「これ。チョコバナナマフィンにする。」

「あら。チョコレートは他にもいっぱいあるのに。ホントにそれでいいの?」

「うん!」


アタシは大きく頷いた。

それを見ると、ママは店員のお姉さんを呼んだ。


「これと、これと、……あと、これ!お願いします。」


ママがマフィンを注文したのを見届けると、アタシは先にお店から出た。
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