コーヒーとふくれっつら
部屋のドアを開け、真っ直ぐにベッドの側に置いてある携帯へ向かった。

携帯を操りながら、その様子を見つめる視線には敢えて目を向けずにいた。


そして視線の主が俺から視線を外し、キッチンへ戻ったころ。

俺は、見えない相手に必死に頭を下げていた。

そして、やっとのことで手に入れた元通りのメモ。

そのメモの番号をすぐさま押した。










俺は、大きな社会に巻き込まれているちっぽけな一人。

今、そのちっぽけな役目を果たし終え、出てくる溜め息と共に、一気にやってきた安堵感ですっかりご機嫌になっていた。

馬鹿みたいだけど、そんなもの。

ちっぽけな役目だけれど、それは次第に大きな成果になる………かもしれない。

だから、ご機嫌だったんだ。



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