コーヒーとふくれっつら
「美里!もう大丈夫だ………みさ…と?」


振り向いたそこには、誰の陰もなく、俺の声は誰にも受け取られずに床に吸い込まれていった。


「美里?」


消えたメモは戻ったけれど、無くなるはずの無いものが、消えた。


「美里?どこだ?トイレ?」


リビングを見渡し、キッチンの横を通りすぎ、玄関へ。


「帰ったわけじゃ無い……と。」


靴を確認し、回れ右。

その瞬間、頭の中に、俺を追い掛けようとした時の美里の声が響いた。


『私も……』


来るな。と拒否した俺の背中に届いていたはずの、美里の想い。

拒否した俺の背中に届いていたはずの、








想い。










心の中で舌打ちをひとつ。


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