優しい告白
一幕目が終わり、明かりが戻る。


「塁さん、外へ。」


呼びにきたスーツの男性。


「ほいほい。」


返事をしながら立ち上がった。

そして落ちた帽子。

私を見つめる視線がなんだか痛くて。

帰っても良いよね。

ぶつかった頭も痛いし。

せっかくの舞台も、ちっとも頭に入らないし。

このまま、舞台が終わって、何にもなかったように一人で帰るなんて怖くて想像したくない。

だから、帰っても良いよね。

二幕が間もなく始まる。

客席が埋まり始めたのを横目に、人の波に逆らいながら、劇場を出た。



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