虹に降る雨
「寝てなかったんだ?」


「………うん。」


今夜は、余計なことばかり考えて、なかなかベッドに入れなかった。


「もう少し俺に付き合ってくれる?」


彼の優しさに甘えてしまおうか………。

そう思った瞬間、フワリと何かに包まれた。


「こうしてると安心する。」


私を抱き締めながら、耳元で囁いた。


「………りょ…くん?」


「良いから。」


「え?」


「何にも言わなくて良いから。」


そう言って、私の髪を撫でた。

揺れていた心が、少しずつ穏やかになっていく。


その晩、彼は、ベッドの中で、何も言わずにただ、私を抱き締めていた。

ただ、傍にいてくれた。










私は、彼の腕の中で、いつの間にか眠りについていた。



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