虹に降る雨
「美里、そろそろ。」


店の入り口に立って、頭を深く下げる女性。


田舎にある支社への異動を希望し、おばあちゃんたちも一緒に暮らすと聞いた。

きっと、幸せになる。


「じゃあね、美羽姉。」


「じゃあね、美里ちゃん。」


背中に回された美里ちゃんの手に、きゅっと力がこもる。


「大丈夫。私は、ずっと側に居るよ。」


体をそっと離し、指のリングを指差した。


「私は、美しい羽を持つ天使だよ?幸せにならないわけがない。でしょ?」


頭をくしゃっと撫でると、笑って私を見つめた。


「うん。これ、大事にする。ありがとう。」


美里ちゃんは、笑顔で車に乗り込んだ。

だから、私も笑顔で手を振った。


幸せになれ………。


そう、願いながら。



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