虹に降る雨
人指し指をくわえてこっちをみながら笑うやっちゃん。


「らいろーふ。」


大丈夫。

笑って針を持ち直した。











私の大切な時間。

大切な空間。

瞭くんの知らない私。

私が育った場所。









私という存在を初めて認めてくれた場所。








「美羽ねぇちゃん?」


気付くと、心配そうに私を見つめる小さな瞳があった。


「あ……ごめん。何?わかんない?」


「美羽ねぇちゃん、元気、ない?」


まだ5歳の佐紀ちゃんが、私の膝に顎をのせて見上げていた。


「元気、あるある。」


ガッツポーズを見せて笑った。

私は、もう寂しくはない。

ひとりの寂しさを知っているから、寂しさを忘れる手段も知ってる。



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