春風
手紙の内容はこうだった。
『愛する彼女、真桜へ。
元気か?
俺は今、夜の病室で
これを書いてる。
夜、1人になると
やっぱ怖いな。
色々考えてしまって。

真桜、多分俺はもう
そんなに生きれないと
思うから、伝えたい事を
手紙にするよ。

真桜、お前はいつも強がって
涙も悩みも不安も、
隠そうとするから、
少しだけ心配だ。
もっとさらけ出して
良いんだからな。
特に俺の前では。
けど、実を言うと
俺も一個だけ隠してた。
今の不安を一個だけ。

…死にたくない。
生きていたい。
もっともっと
真桜の笑顔が見たい。
もっと欲を言うなら
真桜の側にいたい。
だけどそれは
叶いそうにないから…
佳佑に頼んでおいた。
真桜が無理しないように、
それとなく
見守っててくれって。
佳佑は優しいから、
きっとこれからも
真桜の力になって
くれると思う。
だから、頼って
いいんだからな。
誰も怒らないから、
泣きたいときは泣け。
これが俺の伝言。
じゃあな。
真桜を愛する
彼氏、柚より。』


読み終えた時、
あたしの目からは
大量の涙が溢れていた。

(ありがとう…柚。
あたし、柚に出会えて
良かったよ…。)

そう思えた。
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