神様の悪戯
「華恋さん、初めまして。遅くなってごめんなさい」
扉から姿を現した女性は驚くほど可愛らしい人だった。
30歳前半、むしろ20代でも通るのではないかと思うくらい若々しい。
それでいて、落ち着いてる雰囲気は生まれもった品の良さを示していた。
この人が、
『お母さん』になる人…
突然の対面に心の準備もままならず、私は体ごと椅子にくっついてしまったように動けなかった。
「…か…かれ…ん、華恋ッ?」
「ふぇっ…ぁっ、ごめんなさい」
傾いた意識を父の声が呼び戻す。
ガタガタを椅子を鳴らし、立ち上がる。
「初めまして、えーっと…」
「いちのせ、一ノ瀬薫と申します」
そう言って、女性…薫さんはふわりと微笑み小さく頭を下げた。
「薫さん…よろしくお願いします」
その笑顔に固まっ緊急が少しだけほぐれた気がした。
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