神様の悪戯


「遅くなって本当にごめんなさい。雨で思いの外、道が混んでいたの…」

薫さんは申し訳なさそうに遅れた理由を話すと、お店で借りたのだろう…タオルで雨雫を拭った。



父に促されて向かいの席に腰を下ろす姿を私はただ黙って見つめた。


観察してたって方が正しいかな(笑)



観察し過ぎたからだとは思うけど、バッチリ目が合ってしまった。

私の視線にも嫌な素振りなんか微塵も見せず、彼女はフワリと微笑んだ。


なんにも考えてなかったから、もちろん言葉なんて交わせず今日2回目の曖昧スマイルでなんとかその場をしのいだ。




「藍紫くんとは一緒じゃなかったのか?」

父から出た新しい名前に頭だけは即座に反応した。


間違いなく、兄弟となる人の事だろう。

父の口振りだと、その人とは既に面識があるみたいだった。


「ぇえ、用事があるとかで別に向かう事になってたから…多分、車でしょうし道が混んでるのかな…華恋さん、本当にごめんなさい」




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