神様の悪戯
目の前には真新しいローファー。
黒光するそれは私の足にピッタリのサイズだった。
その隣には楽譜。
次の音楽で私が弾くことになるであろう曲達の設計図。
ベッドに体を投げ出す。
ひどく疲れているはずなのに、眠りは一向に訪れてはくれない。
多くの人が眠りに着く時間にも関わらず、私の部屋から灯りが消える事はなかった。
先程、帰ってきた父から聞いた事が頭の半分を占める。
薫さんと正式に結婚する事。
今週末にも、この家で一緒に暮らす事。
もちろん、アイツも一緒に。
残りの半分は帰りの出来事。
目の前のローファーはアイツが買ってくれたものだった。
帰り道の途中にある駅ビルで車を停める。
30センチくらいの箱を抱えてアイツは直ぐに戻ってきた。
「適当に選んだ。サイズ合わなかったら新しいの自分で買え。とりあえず、明日はこれ履けよ」
戸惑う私の膝にそれを置き、アイツは車を発進させた。
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