ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】
嫌な沈黙が落ちる。
「あ、あの、お香さん?」
お香の意外な反応に、茜は首を傾げた。
当のお香は、形の良い弓形の眉根を寄せて、何か言い淀んでいる様子だ。
「お香さん?」
「……いえ。気を付けて行ってらっしゃい。お昼を用意して待っているわね」
向けられる笑顔も、どこか力が無いように思える。
なんだろう、この違和感。
茜は、意味もなく胸の奥がざわついた。
「あ、はい。ありがとうございます……」
「茜、行くぞ!」
一宿一飯の恩義も忘れて、挨拶には興味がない玄鬼は、きびすを返してスタスタ外に向かい歩き出した。
そのまま中庭を突っ切って、裏門の方へ歩いていく。
「ま、待ってよ玄鬼!」
茜は、お香にペコリと頭を下げてから慌てて後を追った。