空中ブランコ






「キャリアさんは10年前に4日間姿を眩ました後、帰って来たと思えば以前以上に元老員に意見を言うようになりました。」




 それを聞いてくすり。と、彼は上品に唇を歪ますだけ




「彼女も君と同じ境遇だったようだね」




 いつだったかな、とポツリと漏らした




「狭間にいる間、貴方は聖職者を殺したい?って訊いてきたんだ。
僕は元々気ままな猫だったから、その時の上役が言ったままに動いていててね…聖職者についてだったり、あまり考えたことがなかったんだ…。まさかあんな質問されると思ってなかったからね、正直戸惑ったよ」

「キャリアさんの答えは?」


「もちろんキャリアの答えは、No」





──…お互いの力に恐怖を抱かなければ、消滅させるために能力を使うことを考えなければ、クジルと私みたいに共存できるでしょう?




 艶やか。


 キャリアにとても似合う言葉だ





─── それは無理だよキャリア。


─── なぜそう思うの?

─── 僕達魔族の本能は、闘いに喰われ、住み浸かれている。例え数日の共存が叶ったとしても、またいつ暴れだすか分かんないんだよ。




 静かに答えた僕に、キャリアは首を振った。




─── それは魔族だけぢゃない………聖職者も同じだわ。
魔族の能力を日常で目の辺りにすれば、いらぬ考えが頭を支配するのは安易に想像がつくもの…



 魔族が暴れだす前に奴らを殺そうと、人間は必ず考える





「現実の問題は過去からのお題。」




 伏せた目はそのままに、クジルの言葉が重くのしかかる





─── いくら考えたってどうしょうもないんだ。世には交われないものもある。


─── あら、随分と古風なのね。




 キャリアが小さく笑う




─── 僕もバカだと思うよ……。でも、戦争が生み出した憎しみのシステムは変わらない。



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