思いだけでも伝えたい(短編)
「樋口が襲ってきた」
「はあ!?」
あきらかにイライラしてる樋口は松矢を床に敷きながら私を見た。
まあ確かに襲ってる風に見えなくはない。
「本当は樋口が日直なんだからちゃんとやってよ」
もっと可愛く言えればいいけれど、ちょっとしたことで顔が赤くなってしまうから樋口の目も見れない。
松矢がいなかったらそれどころじゃなかったと思うけどね
再び日誌に目を向けると、ほどなくして背後に気配を感じた。
「ごめん。ちゃんとやります」
黒板消しを持って謝る樋口。
それ反則。
でも無視する訳もいかず振りかえると、本当に密着してしまうんじゃないかと思うくらい樋口が近くにいた。
ブワアと頬が上気する。