思いだけでも伝えたい(短編)
「か、神谷!?どしたの!?熱!?」
多分、文化部で体力のない私を樋口は異常に心配してくれてるんだ。
なんだか感動だ。
「ななななんでもないから」
ていうか松矢は!?
教室を見渡しても松矢はいない。
こんな時こその松矢じゃないの!?
絶対に気まずくなるってばあああっ
焦る私をよそに樋口が黒板を綺麗にしていく。
何で樋口を好きになったのかな
何で樋口じゃなきゃ駄目なのかな
何で樋口にこうもときめくのだろうか。
最初は遠くで皆に囲まれて笑う樋口を見てたんだ。
あの人も同じクラスなんだって
皆を笑顔の渦に取り巻いて、その中心の樋口が一番素敵な笑顔をしてて
たまに聞こえてくる樋口の声がむしょうに心地よくて
いつからか、あの笑顔のそばにいたいって思ったんだ。