放課後ハニー


「そういや休み中にメールくれなかったね」
「私が送ると思う訳?」
「わからないよ。世の中には気まぐれっていう動機もあるしね」
「そんなもんに期待するの?相模が?」
「可能性を作った以上期待くらい持ちたいじゃない」


私に同意を求めるでもなんでもなく、さらりと言い切った。
本当にそう思っているのかどうか怪しいと思えるほどに。


「納得いかないって顔してるね」
「どう納得しろって言うのよ?あんたの言う事いちいち信用に欠けるわ」
「心外だなぁ…俺そんな信用ないの?」
「まともに信用出来るのは授業の内容くらいなものね。その『いい顔』に騙される子の気が知れない」
「確かにね。だから結局ほんとに本気の子ってのはいないと思ってるよ。
本気がいたとしても、それは自分の恋心を本気で信じてるだけで…その目は俺を見てる訳じゃない」


コーヒーを一口飲み下すと、
相模は真剣な眼差しを宙へ漂わせる。

そんな話じゃなかったはずなのに
これは聞いていい事だったのだろうか…


「高校生でそういうのを見抜けるなら大したものだよ。友響ちゃん。
初めてここで逢った日に君がそれを言わなかったら…俺は君に惹かれることもなかったと思う」


宙を漂っていたその視線が
私を捉えた。

…あれ?
今の発言は…本物?
この眼は?表情は?作り物?

ぽかん、と開いた口が塞がらないまま
目が見開かれて
思考力と判断力が鈍っていくのがわかる。


待って。
ちょっと、待ってよ…
私…混乱してる―?

ドクン、と大きく鼓動が跳ね、息苦しさに一瞬身体が襲われた。

違う。
惑わされちゃ駄目。
私が好きなのは―



「…ま、そんな所っ」


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