放課後ハニー



「友響ちゃん…」


肩を抱かれてゆっくりと椅子の上で座らされた。
何が起こったのかなんて
きっともう察しているだろう。

ネクタイが私の手からするりと解かれて自由になった両手が
カタカタと震えている。

改めて身に起こっていた恐怖と訪れた安堵に
ぽろぽろと涙が溢れ出した。


「さがみ…」


絞り出した声は大半が空気で、とても呼んだとは言えなかった。
しゃがみ込んだ相模が下から私を覗き込む。


「大丈夫?」


言うべき言葉が何一つ見つからない。
もう口は塞がれていないのに塞がれたように何も言えなくて
ただ頬を濡らしていた。

さっきまであった森見くんの声。
そして、感触。
張り付いたみたいに全部残ってる。


「…友響ちゃん?」


相模の手が私の手に触れて
身体がびくんと脈打った。
相模は一瞬驚いた表情をしたけど、私も何より驚いてる。

なんで?

身体が全部
言う事聞いてくれないよ…

再び触れようとした相模の手が躊躇いがちに引かれ、
代わりに頭からジャケットを掛けられた。



「…車用意するよ。送ってあげるから。それから服も、ちゃんとして」


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