想い出の中の虹
「ありじゃね?」


「うん。ありだね。」


クスクス笑いながら楽しそうに俺の目の前に手をかざす。


「じゃあさ、美羽は、何欲しい?」


心臓が、ほんの少しだけドキドキしはじめる。


「え?私?」


手をずらし、まるでいないいないばぁ、でもするように俺を覗き込む。


「誕生日、もう少しだろ?俺、夕方には空く予定なんだ。」


「………………。」


返事に戸惑う彼女が、俺を不安気に見つめる。


「レストランでも予約しちゃう?ご馳走するよ?」


「……………。」


「何食べたい?」


「……………。」


ほんの少しだけのドキドキは、大きな後悔へと変わる。










「私………」



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