揺れる虹
「み………わ?」


肩が揺れ、ゆっくりと視線が上がる。


「…………あ…瞭くん。」


「美羽!」


とにかく状況を把握しようと必死だった。


「こんなとこで何してんの!」


「……これ。」


バッグから取り出された小さな包み。


「これ………わざわざ持って……」


「瞭くん、痩せたみたいだから。」


「え……?」


「食べなきゃ………ね?」


優しく微笑む頬が、紅い。


「ちょっと待って。ここ、どこだか分かってんのか?」


「そうだね。電車、出ちゃったね。」


笑いながら言われても、動揺を隠せない。


「ごめん。次で降りるから。席戻って。」


「戻ってって……。」


驚きすぎて笑うことすら出来ないでいる俺。


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