不可解な恋愛 【完】
「いたらどーすんの?」
「別に。どうもしない」
「殺んない?」
「まさか。龍のこと愛してるもの」
彼女の背中に回していた手。指でワンピースのファスナーを下げる。
彼女は開いた唇から小さく舌を出して、丹念に俺の首筋を舐めあげた。
押さえつけるように後頭部を手のひらで抱え込む。
もう片方の手でワンピースを肩から剥がすと、それはゆるゆるとフローリングに落ちた。
俺を求めて、自ら体を摺り寄せて、絡みついてくる奏音を抱き締めながら
杏奈はこんなときどうなんだろうか、とぼんやり思う。
ストン、と俺をソファーに座らせてそのまま馬乗りになる奏音。
きっと杏奈に、こんなことはできないんだろうな。
彼女は乱暴に押し倒すと壊れてしまいそうだから、その時は、そっと寝かせてやるべきだろう。
奏音は俺の口の端にひとつキスを落とす。
名前を呼ぼうと薄く口を開くと、言葉を発するよりも先に、舌を捻じ込まれた。
なんか、されるがまま。でもまぁ悪くない。