満ち足りない月




「とにかくだな、雑巾掛けってのはこんなにびしょびしょにしちゃいけないんだよ」


ラルウィルは階段を降りてきながら言った。

「どうしてよ?綺麗になったじゃな――キャッ」


セシルは足を滑らせた。

しかし短い悲鳴の後、風が空を切った。

階段の側にあった花瓶の花が揺れる。


「こういう事になるからだよ」


ラルウィルはセシルの肩を抱きかかえながらにこっと笑った。
< 112 / 255 >

この作品をシェア

pagetop