満ち足りない月




声の相手は首が痛くなるまで上げないと見れなくて、バルコニーは二階に位置するところにあった。


そいつはバルコニーの手摺りから顔を出してこちらを冷ややかな目で見下ろしていた。


暗くて顔はよく見えないはずだった。"人間"ならば。



やっぱりどう見たって子供やんけ。それも俺より全然年下やないか。


リュエフはムッとした表情でバルコニーに向かって言った。


「お前やって子供やないか」


思っていることをそのまま言った。


誰かと会話をするのは久しぶりの事だった。

この数日の重くのしかかるような不安と恐怖と戦ってきたリュエフにとって、こんな小さな話し相手でも会話できることは内心、少しだけホッと安心するような気持ちになる。


「まあ少なくともお前よりは全然年上だと思うけど」


はあ?

リュエフはまたもイラッとした。


明らかにこっちの方が年上やろうが。


こいつとは根っから相性が悪い、
リュエフははっきりと思った。
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