女子DEATHヒーロー
 それは言っちゃいけないナンバーワンな事なんですけど!

「お前、喧嘩は強いのに色々抜けてんだ」
「抜けてるってなんですか?」

 あたしは即言葉を返す。
 頭のネジが抜けてるとか?それはたぶん、佐々木だと思う。頭のネジ数本ぶっ飛んでそう。

 希夜さんはため息をつくとあたしから離れた。


「まぁいい。拓に何かされたら俺に言えよ。あいつのストッパーくらいにはなれるからな」

 あ、兄貴!

 希夜さんは微笑むと、大きな手であたしの頭を撫でた。希夜さんは本当に大きい人だ。本当に色々大きな人だ。

「はいっ!希夜さんがお兄ちゃんだったらよかったのに」

 意地悪な事もあるけど、懐の大きい人だから安心できるし。拓兄は狭いし、燿兄は意味不明だ。

「俺もお前が妹だったらと思う。毎日家でイジメれるしな」
「そういうお兄ちゃんは足りてます!あ、早く行かないと……希夜さん、失礼します」

 一礼すると素早く外に出た。早く行かなきゃ!



 あたしは気付かなかった。部屋から出た時の希夜さんの悲しげな瞳と伸ばした手と呟きを……。

「……複雑すぎんだろ」



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