女子DEATHヒーロー
 拓兄はニヤリと笑うと、あたしを見た。
 拓兄……あんたはなんでそんなにセクハラ魔なの?もー嫌だ!

 佐々木も拓兄と違うけど、その点では似てるよ……。

「あと、もう1人の2年は……」
 拓兄は何も無かったかのようにそう言った。
 この際、どんなやつでもどんとこい!

 その時、廊下と繋がっているドアが開いた。

 ……同室者!?
 あ、やっぱりまだ心の準備が……。

 入ってきた瞬間、あたしの思考は軽く停止した。

 実はもう1人の同室者に期待してたんだ。可愛い先輩だったらいいなぁとか、優しいあたし家の兄とは違うお兄ちゃんみたいな人だったらなぁ、とか。
 ところがどっこい、入ってきたのは……あのオレンジヤンキーだったのです。

 入学式の前に人をぼっこぼこにしてた人。空気になったおかげであの時バレなかったと思ったから……別に大丈夫だよね?

「葉月、これがお前の同室者だ」

 めっちゃ睨まれたー!あたし何にもしてないのに。え、バレてる?見てたのバレてる?
 っていうか、2人が居ないんですけど!?逃げた?逃げたの!?

「ど、どうぞよろしくお願いします……1年の鈴木です……」
 関わりたくなかったのに……!神様……あたしを見捨てないで……。そう言えば、前に燿兄にあたしが神様神様言うのを聞いて「絢灯の神様は死神でしょ」って言われたなぁ……。

 泣いても良いですか?

「お前、朝の……」
 バレてた!何であたしが居たって知ってるの!?空気になったのに……!

「じゃ、俺はもう行く」
 ちょ!拓兄ー!

 広い部屋に残された2人。
 気まずい。気まずすぎるぜ……!
 所で、あたしは何キャラ目指してるんだろうね。
「とにかく、お前の部屋はここだからな」
「……もういいよ、ここで」

 あたしの人生は諦めの連続だ。
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