女子DEATHヒーロー
 あたしは準備運動をちょっとだけすると、ドアに手をかけた。
 なぜかあの眼鏡男子を放っておけなかった。弱いものいじめは……フェアじゃない。

 正義感強いとかってタイプじゃないんだけどなぁ。

 ドアを開けると、不良たちは足を止めてこっちを見た。めっちゃ睨まれてます。
 眼鏡男子はあたしに気付いてないらしい。気を失う寸前なのかも。
 早く終わらせないと。

「こんにちは。……弱いものイジメは醜いですよ?」

 あたしは丁寧に頭を下げて挨拶をすると、ドアを閉めた。

 あたしの姿は彼らにはどう映ってるんだろう?……金髪だしジャージだし……ヤンキーに見えてたりする?……見られてないと思う。
 かなり、あたしなめられてる。警戒されてないし。イヤラシい笑いをされるだけだもん。
 男は狼だもんね、SOS!べつに助けはいりません。

「女が何しに来たんだよ」
 近付いてきた男の手があたしに触れる……前にあたしは軽く一発鳩尾に入れた。
 央太の時とは違って、かなり本気の一発。
 不良1はうめき声とともに崩れ落ちる。

 久しぶりの喧嘩だけど……鈍ってないっぽい。

「なっ……てめぇ何者だ!」
「うーん、正義のヒーロー?」
 あたしが正義のヒーローなんてあり得ないか。あたしなんて悪役(兄)の下っ端だし。

「兎に角、歯、食いしばっとけ☆」

 あたしは果敢にもヤンキー2人に向かっていった。

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