君に染まる(前編)

"初めて"へのためらい



先輩との初デートの次の日。



学校は文化祭の片付けで授業は無く、
お昼を食べると解散だった。



〔学校終わったら部屋に来い〕



片付けの時に届いた先輩からのメール。



昨日の今日ということもあって
少し緊張していたあたしは、



「あたしも行く!」



と言ってきた楓ちゃんと一緒に、
早々とお昼を済まして
部屋に向かっていた。



「ねぇ未央、そろそろアレ見せてよ」



「え?で、でも…」



「誰も見てないって。
そもそも校則違反じゃないんだから
堂々としてればいいの。
みんな普通にしてるでしょ?」



楓ちゃんにうながされ、
周りの生徒達に視線を移す。



確かに…みんな堂々としてる。



「ほら、大丈夫だって。
家の前じゃ吏雄くんに見つかるとか言って
見れなかったし、
家から離れたと思ったら
学校関係者に見つかるかもとか言って
結局朝は見れなかったんだよ?
昨日、電話で聞いてから
実物見るの楽しみにしてたのにさー」



「だって…」



「み~お~?」



ためらうあたしに
楓ちゃんが顔を近づけてくる。


< 238 / 337 >

この作品をシェア

pagetop