君に染まる(前編)
あ…なるほど…。
…ん?でも待って?
各クラスの委員長は男女1人ずつで…
必ず2人で来るとは限らないし、
1人の場合にあたしが来るなんて
分からないよね?
実際、
野田くんが先生に呼ばれてなかったら
あたしはここに来てないし…。
…っていうか、
どうして先輩は
あたしのこと待ってたんだろう。
「なんだよ。
言いてぇことあるならはっきり言え」
「…なんでもないです」
これ以上聞いたらもっと怒鳴られそう…。
先輩から視線をそらし
ファイルの汚れをはたいていると、
ガラッ
「なんの騒ぎ?」
生徒会室から植野先輩が出てきた。
「あれ、未央ちゃん?」
「こ、こんにちわ!…あ、これ」
植野先輩にファイルを渡した。
「ああ、ご苦労様…って、
なんでこんなになっちゃってんの?」
苦笑いを浮かべた先輩は
ところどころの目立たない傷を指さした。