君に染まる(前編)
「それは…」
うつむきながらちらっと獅堂先輩を見た。
「…獅堂くんがやったの?」
あたしの視線に気付いたのか
呆れた様子で獅堂先輩に視線をうつした。
「さっき大声で叫んでたのも君だね?
生徒会室の壁を叩いてたのも」
「文句あんのか?」
「困るなあ…これ生徒会のだからね。
大切に扱ってもらわないと」
ファイルを眺めながら
ため息をついた植野先輩。
「…すいません!」
「なんで未央ちゃんが謝るの?」
「だって…」
あたしが注意してれば
奪われなかったんだし…。
植野先輩に迷惑かけちゃったし…。
「未央ちゃんは悪くないよ?」
「いえ…あたしの不注意で…」
「惚れてるからだろ」
あたしの声に獅堂先輩の声が重なる。
「え?」
「お前に惚れてるんだよ、こいつ」