~Snow White~『ニ巻』
第十一章
不倫・・・・・・


利香は影の女になった・・・・・


少しでも会えるようにと
小樽の街にマンションを竜平が借りた。


だまってるとおかしくなりそうで
近所の水産工場で早朝から昼までの
パートに出た。


魚臭いけど
働くのは好きだった。
海が見えるのがうれしくて・・・・


竜平は何もするな
暇だったら習い事したら?


そう言ったけど
竜平だけの金で生きるのはイヤだった。


不倫の道を選んでしまった
心の負い目が
少しでも前を見られるように
していたかった。



あの日・・・・
携帯の着信音を聞きながら
全てのトラウマが飛んで行った

 今まで何を怖がってたの?


竜平に抱きしめられて
もう離れたくない・・・・


そう強く思った。


竜平の体のぬくもりが残る
布団の中で
利香は竜平とひとつになった。


「愛してる・・・・
もう絶対に離さない・・・・」
何度もそういう竜平に
利香は必死にしがみついた……



「愛してる・・・・・」
利香の涙を竜平は唇で受け止めた。


あの日から
利香はまた竜平のものになった・・・・・・

待つ身の女に・・・
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