手のひらの終焉
どうしよ、アモーレに聞こえそう。

アモーレから逃げようと、手を振り払おうとした。

けれど、アモーレにしっかりと手を掴みなおされて、

いっそう引き寄せられてしまった。

と、手が離されて、代わりに背中を抱き寄せられた。

ドンとぶつかるように、アモーレの胸の中に収まってしまう。

その力強さと裏腹な、柔らかい身体がリャウカを包み込む。

甘い香りも、いっそう濃くなる。

ああ、どうしよう。

ばくばくいう心臓が、アモーレの肌に触れている。

気付かないハズがない。

リャウカは自分の顔が赤くなるのを感じた。

< 145 / 262 >

この作品をシェア

pagetop