手のひらの終焉
「マモウルが怖いから」
 
言うと、アモーレは笑った。

「確かにね。

あたしなら、ライバルと争う必要なんかないわね」
 
心臓がズキリと痛む。

 アモーレの、心は男性なのかもしれない。

だとしたら、この身体を持っていることは苦痛でしかないのかもしれない。
 
だって、まず女は寄ってこない。

どっちかっていうと、このルックスは女の敵だ。
 
ふっと笑うと、アモーレに聞きとがめられてしまった。

「あら、失礼ね」
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