手のひらの終焉
リャウカのグレーの瞳が、ゆっくりと血の色を帯びる。

怒りと結び付いていくように、鮮やかな色へと次第に色を変えていき、

ビー球を陽に透かしたような、美しく深い赤に変化した。

妖しい光を発するその底には、冷酷な光が静かに横たわっている。
 
リャウカは丘になった部分の上に身を潜めて、

下にいる、見張り役の人間を見た。
 
一人。
 
銃をぶら下げているが、明かりをそばに置き、

退屈そうにつま先で地面に何か書いている。
 
その彼の首元に、意識を集中させる。
 
カメラのレンズを倍角にするように、彼の細部を見るために視覚を寄せる。
 
見られていることが分かるかのように、彼がくるりと背中を向けた。
 
リャウカは、ポケットに忍ばせておいた特殊な銃を取り出した。
 
銃というよりは、吹き矢を機械化したようなものだ。
 
弾の代わりに、針を噴き出す。
 
リャウカは見張りの首筋を狙って、銃を撃った。
 
一時的に、強烈に四肢を麻痺させる薬物を仕込んだ針が、

彼の首に突き刺さる。
 


もう、誰も殺すな。
 

スクセの言った言葉が、赤い目のリャウカの精神にも響いていた。
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