手のひらの終焉
「痛たっ」
 
リャウカが小さく叫ぶと、リャウドが身を起こして、

しゃがみこんでいるリャウカの方に歩み寄ってきた。

「どうした?」
 
背を曲げて覗き込むリャウドに微笑みかけて、

えっ?ってなってるリャウドのみずおちに強烈なパンチを食い込ませた。

「何、で」
 
意識を失って倒れるリャウドを受け止めると、

そっと砂の上に横たえた。

「ごめんね」

つぶやくと、広く窪んだ土地に潜むように張られたテントを見下ろした。

これでは遠くから見ても、人のいる形跡が見えない。

上手い場所だ。

だけど、見つけた。

あたしをおびき出す羽目になったことを、後悔させてやる。
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