手のひらの終焉
コンクリートで底を固めてある。
 
つまり、これは湖なんかじゃななく、

誰かが作り上げた、池、なのだ。
 
リャウカは思わず等間隔に植わった木を振り仰いだ。
 
コレも、誰かが植えたのか。
 
つまりここは、作られたオアシスなのだ。
 
雨が降るまでその姿を砂の底の水脈に変える、

ワジとよばれる枯れた川。

そこから水を引き上げているのかもしれない。
 
けれど、木や池は人工の香りがした。
 
こんなところに、楽園を作って悦に入っているのは

いったいどんな人間なんだろう。
 
やはり、ノインか。
 
彼が作らせたものだと思うと、急に、

このオアシスが悪趣味なものに思えてきた。
 
リャウカは、池の縁取りに使われた石の中から、

小さい物を選んで集めた。
 
幸い、石はコンクリートに固められていなかった。
 
腕一杯に石を持つと、リャウカは人工の林から外を覗いた。
 
ピアノ線のないところを選んで木の影にしゃがみこみ、

建物に向かって続く砂の方を見た。
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