手のひらの終焉
貧しい食卓が、一気に豪華になる。

沈みがちのみんなのテンションも、否応なく盛り上がる。
 
何と言っても数週間ぶりの肉なのだ。
 
みんな、むさぼるように、肉を口に含んだ。
 
マモウルは、悠然と、がっつくことなく肉をナイフで、

一口大に切り取っていた。
 
その彼女は視線に気付いて、そっちを見た。
 
隣に座ったイズミである。
 
一人涼しい顔をしているマモウルへ、

怒りを込めたような視線を注いでいた。
 
食べ物に手もつけていない。
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