手のひらの終焉

刹那の仕合わせ



全身にだるさを感じながら目を覚ますと、赤い世界にいた。

「気が付いたか」

 見覚えのある顔が、リャウカを覗きこんでいた。

「だいぶ出血してたからな。体がだるいだろう」
 
そういえば、胸と背中に圧迫感がある。
 
指先で触れると、固い布がしっかりと巻きつけられていた。

見ると、リャウカを見下ろしている男の胴にも、何か巻きつけてあった。
 
ああ、そうだ。
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