手のひらの終焉
みんなが、久しぶりの肉の味に大声を上げて喜んでいる。
 
その中で、イズミはマモウルにしか聞こえない小さな声で言った。

「ボクはね、リャウカのことが良く分かるんだ。

今どこで何をしているかもね。

だけど今は、全然リャウカを感じられないんだ。どうしてだろうね」
 
何の感情もこもらない声だった。 
 
けれど、マモウルの殺意に火をつけるのには充分だった。

「マモウル、食べてる?」

優しくマモウルに笑いかけてくるスクセに、彼女は、

「ええ」
 
言って、微笑んだ。

『次はイズミの番だ。どうやってこの世から消してやろう』
 
にこやかに小さな塊を口に運びながら、マモウルは思った。

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