手のひらの終焉
トラックの中でスクセから取り上げたライフルを肩に担ぎ、

そのライフルに腕をかけたポーズで、トラックを降りて来たのだ。

リャウカはこの方が何だか落ち着くのだ。

この際、スクセの感覚は無視することにする。

テントに向き直って、感動の続きを味わうことにする。

「こういうテントって、もっと、ぎゅうぎゅう寝そべって、

大人が三人も寝ると、殺気立つくらい狭いのかと思ってた」

振り返ると、灰色というか、シルバーというか、この、つややかで目立つ髪が揺れる。

その同じ色の目でリャウカはスクセを見た。

「まるで人なんて殺めたことがない人間のような、柔らかな光の瞳、か」

 スクセは呟いた。

「なに?それ」
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