手のひらの終焉
シャウエイは、ムッとしたが、

痛いところをつかれているので、

何も言えないようだった。

「特にあの、マモウルって女の子。

あんなフワフワした子が役に立つのか?

今日チラッと見たけど、

えらく派手な女がもう一人」

言い終わらないうちに、

リャウカの背中と肩に、

誰かがぶつかってきた。


「なーに?それってあたしのコトお?」

リャウカの鼻に、

どぎつい香の香りがなだれ込んだ。
 
いや、香じゃない。

香水か。
 
こんな、私物の持込の限られた場所で出くわすと、ちょっと衝撃的だ。
 
リャウカは香りにムセながら思った。

「あら、失礼しちゃうわ」
 
リャウカにべっとりと抱きついてきたそいつは、

そう言うと、リャウカの隣りに腰掛けた

「あたしは、アモーレよ。よろしくね。」

アモーレて。

「それ、本名?」

「いやーね、芸名よ、芸名」
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