夏と秋の間で・乙
「そういえば、昨日のこと誰にも見られていなかった?」
「え?どうして?」
まぁ、もろに見ていた人間ならすぐそばにいますが・・・。
「いや、一応誤解されたら困るからさ・・・。私もだけど、望巳くんも迷惑じゃないかな・・・と思って・・・。」
確かに・・・。
それで、先ほどまでいい迷惑をこうむっていたわけなのですが・・・。
「大丈夫じゃないかな?さすがに、そこまで狭い街じゃないよ。」
一応、早川さんのためにもうそをついてみた。
別に本当のことを話しても良かったのかもしれないが、それで、早川さんに罪悪感をもたれてしまうことが悪いことのような気がしたのだ。
昨日のことは、仕方がなかったのだ。
ソレで良い。
ソレで良い・・・と言うコトにしておこう。
「そっか。ありがとう。望巳くんがいてくれて助かったよ。今度、何かあったら、私に頼むと良いよ。出来るだけ力になってあげるから。」
それだけ言うと、早川さんは自分の席に戻って行った。
力になることって何だよ?
彼女は、ああいってくれてはいるが、おそらくそんなときは永遠にこないだろうと望巳は感じていた。
だけど、ソレを言ってくれる早川さんは少し可愛いと思ったことは事実だった。