夏と秋の間で・乙


「治療してやるよ。そんな顔じゃ家に入れないだろう?」



 自分の家とは対照的に、明るい早川家。



 そんな頬をして両親の前に出て行ったら、何を言われるか・・・。



 まったく・・・別れ話持ちかけたぐらいで女に手を上げるような男と付き合うなよな・・・。



「ありがとう。でも、大丈夫だよ。もう親にはバレているから・・・。」



 それで、ここに放り出すって・・・どういう神経しているんだ。



「だったら、なおさらそのままにしておくわけにはいかないだろう?」



「良いんだよ、私が悪いんだし・・・ソレより望巳くん、この前言ったことだけど・・・。」



「この前、言ったこと?」



 はて?



 何のことだろうか・・・?



「太刀魚さんと付き合ってないとか言っていたじゃん。」



「あぁ・・・そういえば・・・。」



 そんなことも言っていたことがあったような気がする。



 だけど、何で今さらそんなこと聞いてくるのだろうか?



「あれ・・・ウソ?」



 まさか・・・。


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