俺のためにベルは鳴る
「俺の“好き”とマリアの“好き”が、もし違ってたら?…って考えたら…さ、……いや、もしかしたら“好かれてる”って思てること自体間違ってるかもしんねぇ…って考えたら…さ、」



「うん。」



「俺、怖くて怖くて…告白どころか、待ち合わせ場所にさえ行けねぇんだ。」



「………」



「家に1人でいるとさ、フられることばっか考えちゃって…“用事が出来た。また今度な”ってメールを打っちゃ消しの繰り返しなんだ。」



「そっか。」



俯きながら、ポツリ、ポツリと、胸の奥に秘めていた本音を口にした。



「でも…それでも俺、マリアと付き合いたくて。マリアを“俺だけのマリア”にしたくて…」



「うん。」



「しかも、ヘタレでダメダメのクセに、こーいう時ぐらいはカッコつけたい…っていうか、アイツが感動して思わず泣いちゃうぐらいカッコイイ俺でいたくて…」



「うん。」



「クリスマスイブにツリーの下っていう最高のシチュエーションと、俺の全てを込めた最高の“好き”をアイツに伝えたくて…」



「うん。」



「だから…」
「だから石投げる…か。」



「えっ?」



「ん?違う…か?」



「いや…違わ…ねぇ。」


俺は、俺の胸の内を見透かすように呟いた篤志へとパッと視線を向けると、素直に頷いた。

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